こんにちは!株式会社女子マネの中里桃子です。
「自由な働き方」をしたいからといっていきなり現在のポジションを投げ出して、エイヤ!でゼロになることを、私はお勧めしません。
そうではなく、ヒエラルキー構造から抜け出し、お金を稼ぐことに縛られることなく、会社を辞めずに「ポートフォリオワーカー」という並行して活動する分散的な働き方・生き方をすることをオススメしています。
自分がポートフォリオワーカーになることを具体的にイメージしてもらうために、仕事を2社以上分散しながら、”なめらかに起業”をしたポートフォリオワーカーの方々を取材をして実例を紹介していくことにしました!
ポートフォリオワーカーの皆さんの【会社員100%】【副業時代】【独立してから】
この3つのフェーズを通して、
その1:お金の使い方
その2:時間の使い方
その3:人との付き合い方
この3つがどう変わったかについて取材させていただきました。
この取材記事を読んで、
- 副業のはじめかた
- 時間やお金の使いかた
- 最初の仕事のつくりかた
この辺りを、自分のケースに当てはめながら、ポートフォリオワーカーへの一歩を踏み出してもらえれたらと思います。
まずは、プレ取材(第0回目)として、ライターの坂下春樹(はるぴー)さんに私のポートフォリオ的な歩みをインタビューしてもらいました。
目次
会社員100%時代のポートフォリオ
坂下:まずは、会社員時代ついて聞かせてください。会社員時代はどんなお仕事をされていたんですか?
中里:23〜26歳の頃は求人広告の会社に就職しました。求人原稿を印刷しては、片っ端から電話をかけてアポをとりまくるということをやってました
坂下:仕事に対して、当時どう感じていましたか?
中里:仕事は面白いと思っていませんでしたが、とにかくこの仕事で成長しなきゃいけない、成果を出さなきゃと思ってました。
坂下:そうなんですね。他にはどんなことを考えていましたか?
中里:給料は上がらないし、1ヵ月の給料どうやりくりして、欲しいものを買うか、やりたいことをやるかを考えていました。給料日まだかなって(笑)
時間の使い方
坂下:平日はどんな過ごし方をしていたんですか?
中里:朝7時に家を出て、0時に帰宅するという生活を送ってました。
仕事以外のことを考えられない状態でしたね。
坂下:土日はどんな過ごし方をしていたんですか?
中里:土日は時々会社に出社していました。それ以外は、疲れて1日寝てました。
中里:それと、いろいろやらなきゃと思って、当時知り合いに誘われたネットワークビジネスの勉強会に行ってました。
坂下:なぜ、いろいろやらなきゃって思ってたんですか?
中里:ずっと独立したかったんですけど、当時は独立する人は会社で華々しい成果を出した人じゃないと独立できないと思ってました。
会社のヒエラルキーの中で上に行く人は、割とクラスの人気者タイプの人、コミュ力を兼ね備えた人が多いじゃないですか?
私がいた会社は、200〜300人を同時に採用していたり、ベンチャーで大学みたいな会社でしたし、その組織の中で認められなきゃと思ってました。
坂下:将来、独立を目指して、ヒエラルキー構造の中でお墨付きをもらおうとしていたんですね。
中里:そうなんです。ただ、仕事は厳しかったです。
アポイントが取れなければ、夜22時まで電話してたりとか、今振り返ると、確実に訴えられるような働き方を当時はしていたと思います。
ただ、仕事は楽しみたいと思っていたので、いかに日々の仕事を楽しくやれるかを考えて、テレアポのやり方を工夫して、だんだんアポイントは取れるようになりました。
坂下:さすがですね!
中里:アポイントは取れるようになったので、会社にいなくていいんですよ。
日中でアポとアポの間が1時間空いた時に、カフェに入って考え事をしたり、思ったりしていることをまとめたりしてました。
坂下:すごい!笑
中里:自分の好きなことをしてたんですが、当時は趣味の本を読んで現実逃避をしていて稼ぐことには直結していなかったです。
ただ、「フルタイムで働きながら自分の時間をつくる方法」を習得しました(笑)
坂下:これは知りたい人がたくさんいるんじゃないでしょうか?
会員に属しながら、自由な時間を捻出するのって、簡単じゃないと思うんですが、秘訣とかってありますか?
中里:秘訣は、完璧にやろうとするのではなく、「最小の労力で中の上位を狙うこと」です。
坂下:なぜ、そこを狙うんですか?
中里:下位2割に入ると目をつけられるし、上位2割に入ろうとすると、全てを仕事に捧げないといけないんですよ。だから、私は「中の上」を意識してました。
飛び抜けた成果は出さないけど、そつなくやってて、きっちりバリバリ成果を出している人よりなんだか楽しそうっていうポジションにいました。
社内で群を抜いて楽しそうって思われてましたね(笑)
お金の使い方
坂下:給料を1ヵ月分はどのように使っていましたか?
中里:こんな感じでちょっと欲しいもの買うとなくなりました。 稼き方も全然わからなかったです。
それと、当時ネットワークビジネスをやっていて、毎月1,8万円分のドリンクを買っていたので、余力が7千円分しかなかったです(泣)
坂下:ネットワークをやっていて稼げましたか?
中里:全く出ないですよ〜、会社でやれないし、東京に友達もいなかったので(笑)
人との付き合い方について
坂下:当時はどんな人と付き合っていましたか?
中里:付き合う人は、会社の人かネットワーカー仲間でした。ネットワーク仲間と毎週会ってビジネス作戦会議に出るのが私の遊びでした。
26歳でその会社を辞めて、1,2年で転職を繰り返してました。20代の時はホントに稼ぐ方法がわからなかったし、稼げたことがなかったです。
23〜26歳 A社
27-28歳 Y社に転職
営業歩合で月給が3-40万円/月になる
28歳 J社に転職 年収500万に
28-29歳 A社に転職 月給20万円
29歳 Y社に転職 月給3~40万円
副業スタート:マッサージ屋をコンサルする(月額3万で)
30歳 ネイルサロンのC社に転職:月給20万
副業:ビブリオバトル・恵比寿ヨコニワ・起業塾など
月収+10~20万/月になる
34歳 会社を辞めて独立
会社員:副業時代(70:30)のポートフォリオ
坂下:副業をはじめたのはいつ頃なんですか?
中里:29歳の時にマッサージ屋をコンサルを始めました。
翌年、読書会に参加した際に、主催の人に誘われて『六本木ビブリオバトル』の運営に加わりました。
坂下:副業をはじめてから変化したことはありますか?
中里:稼げてはなかったですけど、読書会の主催を始めたら私の話を聞きたいという人ができてきました。
坂下:へぇ〜、そうなんですね。
中里:会社の場でしか私を知らない人は、会社で仕事ができるか・できないかの評価軸だけで私のことを見るんですけど、副業のコミュニティの人たちは、それ以外の物差しで私を見てくれました。
また、会社では何もなかった人でも、違う役割やキャラクターで会うと繋がりたいと思ってくれたりもしました。
だから、置く場所によって自分のキャラも価値も変わるんだなと思って、自分の価値がわかってくれる人のところに行こうと思うようになりました。
副業時代の時間とお金使い方
坂下:時間の使い方にはどんな変化がありましたか?
中里:一番大きな変化は「人のために使う時間を使うようになった」ことです。
それまでは、ネットワークビジネスで自分の見込み客になりそうな人にいかにアポをとるかとか、いかに自分の売上につなげるか、という考えでした。
ビブリオバトルのコミュニティ自体が、 「発起人のKさんを応援したい」「Kさんと一緒にやっていきたい」というところから始まりました。
坂下:そうなんですね。他に変化したことはありますか?
中里:普通は自分が相手にメリットを与えられるかどうかで、アポをとったり、話をするかどうかを考えるじゃないですか?
でも、コミュニティを持っていたので、自分一人がお願いするのは怯んでしまうような人でも
という交渉ができるようになりました。
坂下:それも大きな変化ですよね!
中里:コミュニティを持っていると、価値を還元するのが自分じゃなくても、「コミュニティの場を活用してもらうことでこんな価値を与えられる」と発想の転換ができるようになりました。
坂下:交渉やマッチングをするときに”コミュニティ”という持ち札が増えたんですね。
中里:そうなんです。この発想の転換が人生を大きく変えましたね!
坂下:コミュニティや場作りが自分にはできないと思っている人は多いように感じるんですが、一会社員だった桃子さんが、なぜそれができるようになったと思いますか?
中里:1つは、自分がコミュニティの主催メンバーだったのですが、「決裁権」があって、物事を決められる立場にあったからだと思います。
会社だと決裁権がなくてすごくつまらなかったのですが、それが持てたので楽しくて動けたのだと思います。
坂下:確かに一会社員が社内で決裁権を持つのは難しいですが、コミュニティだと、気軽に役割を変えられるので、決裁権を持つのも可能ですね。
中里:もう1つは、目線が、自分のためではなく、”人のため”に変わったからだと思います。読書会イベントはボランティアでしたが、「これは世の中のためになる」という大義名分のために動けていました。
坂下:なるほど。その目線の変化は大きいですね!
先程「発起人の方を応援したい」というところから始まったって言ってましたもんね。お金の利害関係ではなく、純粋に想いで繋がっていたんですね。
副業は小遣い稼ぎのイメージが強いかもしれませんが、コミュニティという形で関わることで、心や価値観の変化を体験できるのは、副業コミュニティの魅力の1つかもしれませんね。
- 置く場所によってキャラや役割を変えることができる
- だからこそ、仕事ができるか・できないか以外の評価軸で自分を見てもらえる
- 利害のない関係性を築き、”利他”の動機で集まる仲間ができる
- 会社の仕事では得られない価値観の変化を体験できる
人との付き合い方
坂下:人と付き合い方にはどう変化しましたか?
中里:読書会では、著者さんとの付き合いが増えました。また、ラジオパーソナリティ、プロの司会者の方とも出会えて、知り合う人の幅がすごく広がりましたね。
あとは、本好きの会社員の方々です。会社で仕事の取引先になっていないような会社の人とも出会うことができました。
2013年 ビブリオバトル
読書会イベントの収益 手取り0万円/月 ※ボランティア
2014年 恵比寿ヨコニワというコミュニティスペース運営
手取り 20万円
2014年より貸しイベントスペースの運営
会議室の収益 -5~10万/月
会議室の経費 月額20万円(!!)※リスク取り過ぎな件
独立してからのポートフォリオ
坂下:独立してからの仕事内容の割合はどんな感じですか?
中里:現在、株式会社女子マネでは法人コンサル30%、個人コンサル40%、学びや人材育成30%といった割合ですね。
独立してからの時間の使い方
坂下:独立してからは、どんな時間の使い方をしていますか?
中里:出勤しなくてよくなったので、独立当初は住んでいた飯田橋のお気に入りのカフェなどで仕事してました。
平日の午後に映画を見たり、昼間の本屋に行って好きなだけ立ち読みしたり、(最近はしてないですが)フリーランスの仲間とランチをしたりしてました。
ただ、コミュニティの仕事が楽しかったので、ずっと仕事してましたね。
女子マネでは「仕事は惚れてから受けろ」と言っていて、好きな人としか仕事していなかったので、嫌な人との仕事はなかったです。
自分が尊敬する方とこちらも勉強となるような仕事の機会が多かったので良かったです。
坂下:好きな仕事にとことん打ち込めるようになったわけですね!
独立してからのお金の使い方
坂下:お金の使い方に変化はありますか?
中里:売上の1,2割はデザイナーやライター、web周りなど外注費に使うようになりました。
坂下:外注する人はどんな基準で選んでいるんでしょうか?
中里:私はビジョンが重なる人、合いそうな人に、まずお金を払って仕事をお願いしてみて仲間になれるかどうかを判断しています。
坂下:わざわざ相手のサービスを買うはなぜでしょうか?
中里:私は「会ってみたいから時間をください」というのはすごい失礼な行為だと思っています。
なので、その人のサービスをまず買ってみて、「本物だ」「ノリや気持ちが合うな」と思ったら一緒に仕事する、というスタンスをとっています。
坂下:他にお金を掛けているものはありますか?
中里:本は好きなので、ケチらず好きなように使ってます。
去年の本代とセミナー・研修代が120〜130万円いっていてびっくりしました。
坂下:かなり投資されてますね!
中里:余談ですが、そうやって流行りの本はほぼ読んでいるので、本の編集者さんとの打ち合わせで、編集さんが言う本で知らなかった本はほぼなかったです。
本の企画がめっちゃ進みました。
坂下:さすがですね!他にお金の使い方でここは変わったというのはありますか?
中里:基本は、仲間が喜んでくれるネタができるかどうか、仲間に面白そうな話ができそうかっていうところにお金を使ってます。
体調管理のために、整体などに時々行くけど、自分のために使うお金はあまりないですね。
坂下:お金の使い方も”仲間のため”へと視点が変わったんですね。
中里:はい。あと、仕事に関しては、自分にしかできないことをすることを意識しています。なので、仲間を作るための一歩としてお金を使って人のサービスを買う、ということをしてます。
独立してからの人との付き合い方
坂下:独立してどんな人と付き合うようになりましたか?
中里:副業時代は会社員で副業中の人が多かったですけど、今は企業の担当者さん、独立して一本立ちしている人、ビジネスパートナーになる人とか、そういう人が多くなりました。
坂下:なるほど。他に人付き合いに関して変わったことはありますか?
中里:副業時代は、”先生ポジション”をとっていたので、私のことをいいねと言ってくれる人が多かったです。
でも、今は、”コミュニティ作りのサポーターポジション”なのでコミュニティを作りたい人やリーダーの方たちが集まるようになりました。
坂下:副業時と独立してから桃子さんのポジションにも変化があったわけですね。
中里:はい。自分が先生ポジションをとると、生徒として教わりにくる人が集まりますが、自分を何かの一機能にすると、一部上場の企業の人だったり、集まる人が違いました。
- 副業時代:生徒を抱える先生ポジション
- 独立時代:コミュニティ作りたいオーナーのサポーター的ポジション
※自分の立ち位置(ポジション)を変えれば集まる人も変わる
坂下:振り返って、いまの働き方はどう評価していますか?
中里:とても満足しています。
独立当初は一業者のように扱われることもありましたが、自分が付き合いたい人との働き方に変えたので、そこはすごく良かったと思っています。
また、オンラインで完結する仕事が多くなったので、時間の自由は効くし、スケジュールや状況を理解してくれる人が多くてストレスがないです。
坂下:過去に業者的な扱いをされたことがあったんですね。
中里:はい。私が関わっても関わらなくても、人生あまり変わらない人のために時間を使ってもしょうがないと思ったんですよ。
プラスアルファの収益のために、振り回されてもしょうがない、って。
独立した意味を考えて、自分がこういう人の仕事をしたいというのを明確にしました。
坂下:それはどんな人ですか?
中里:ゼロからコミュニティを立ち上げたいという人のコミュニティ作りは、その人にとって人生が100%変わる経験なので、そっちをやりたいと思いました。
今年からマイクロインフルエンサー講座という個人向けの仕事をしていて、リアルに助けたい・支援したい人の声が聴けるのはすごく楽しいですね!
私は現場感のないコンサルになったら終わりだと思っているので、そういう現場感を忘れない距離感でいつも仕事できるのはすごくありがたいなと思っています。
坂下:最後になりますが、これからやっていきたいことを教えてください。
中里:今年はもっとチームを強くしていきたいと思っています!
自分にできることの延長ではなく、仲間と共に未来を描いて実現させていくコミュニティアントレプレナーを広めていきたいと思っています。
坂下:ますますこれからが楽しみですね!今日はありがとうございました!
中里:こちらこそありがとうございました!
編集後記
会社とネットワークビジネスの知り合いしかいなかった「会社員100%時代」から、「副業」でコミュニティ運営を始めて、付き合う人や価値観を変えていった中里桃子さん。「独立」のステージに進むに連れて、時間もお金も”人のため”に使うように変化していったのはこれからの時代性にマッチしていると感じました。(編集部)
- フルタイムで働きながら自分の時間を作りたいと思っている人
- コミュニティを活用してやりたい事を実現させていきたい人
- 仲間を増やして、チームで仕事をしていきたいと思っている人
- 本当に自分が助けたいと思っている人のために仕事がしたいと思っている人
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